東日本大震災後の不安と信頼の失墜 - ドイツ日本研究所の調査結果から
2011年10月年 - 2015年8月
東日本大震災から何カ月も経つにもかかわらず、その衝撃は依然として大きいままである。人々は不安を抱え続けており、政府とメディアに対する信頼は失墜している。これが2011年9月にドイツ日本研究所が東北地方と関東地方で実施した調査の結果である。
人々の心配や不安は様々な要因から構成されていることが分かる。とりわけ、大地震が再び起こることへの不安は大きく、82パーセントの人がこれを挙げている。同様に高い割合が示されたのは放射能汚染に対する不安であり、東北地方では81パーセント、関東地方でも69パーセントにのぼる。
専門家に対する信頼の失墜
その一方、専門的な知識を提供してくれるはずの公的機関に対する信頼は著しく低いものとなっている。本来、この役目を果たすことが期待されている政府とメディアの信頼はほとんどないものに等しく、政府が発表する原発事故の情報を信頼しているという回答は6パーセントでしかなかった。 また東京電力からの発せられる情報に対する信頼も同様に低く(5パーセント)、信頼という点において政府と電力会社にはほとんど差がないことがわかる。同じく低い割合だったのがメディアへの信頼で、一般的にメディアの報道が客観的で包括的であると思う人は13パーセントにしか達していない。ちなみに2009年にはこの値は24パーセントであった。
被災者であること
信頼度に大きな影響を与えているのは、調査対象者自身が被災しているかどうかである。直接被災した人の場合、政府やメディアに対する信頼は著しく低くなっている。これに対し友人や地域に対する信頼は平均より高く、とくに若い世代の被災者は自分が住んでいる地域の復興のために貢献したいという気持ちが強いことが今回の調査で示されている。