The debate on nuclear energy policy after March 11
2012年4月年 - 2013年3月
東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所での事故以来、エネルギー政策に関する議論がこれまでにない規模で行われている。この議論はいかに展開されているのであろうか。確かに世論調査は原子力エネルギー政策に対する支持・不支持の度合いを示してくれる。しかし、その背後にいかなる議論が存在するのかまでは推し量ることはできないであろう。この点をどのように考察したらよいのであろうか。
本研究プロジェクトは東日本大震災後の原子力エネルギー政策をめぐる議論をテキスト・マイニングを用いて分析する。テキスト・マイニングとは大量の文章の中から特定の頻出用語を抽出し、またその相関を示す手法である。これを用いることにより、原子力エネルギーをめぐる議論がどのように行われているのかを明らかにしたい。
より具体的には、脱原発を訴える『朝日新聞』と、原発存続を唱える『読売新聞』の記事を分析し、それぞれの議論を考察する。その分析結果の一端によれば、前者は原発運営の閉鎖性、その監視に対する機能不全といった民主主義の問題を論じ、後者は日本の科学技術を停止させることへの懸念から生じるテクノ・ナショナリズムに基づく主張を提起している点を見ることができる。つまり、単なるエネルギー政策のあり方以上に、広範な社会的基盤に根差した議論が展開されているのである。本研究プロジェクトはこの点を更に深めて考察することを狙いとしている。
スタッフ
阿部 悠貴 (until 2013年3月)
政治学