日本における幸福度の地域差
2010年6月年〜
幸福測定を国際比較すると日本は、教育、健康、金融などの客観的指標の高い値とは対照的に、一貫して悪い結果が出ている。この研究プロジェクトは、日本における、人々の満足度の違いを、地域や性別の違いに特に焦点を当てて研究する。
調査によると、日本の女性は男性よりも満足しているが、小さな子供の母親は父親よりもはるかに不満を持っている。これはどのように説明できるのだろうか。この課題において、職場における女性の状況、仕事と家庭の兼ね合い、家族政策、日本の少子化等の問題はどのような役割にあるだろうか。本プロジェクトのこの部分は、以前DIJによるプロジェクトで行われたドイツと日本の親の満足度の比較から発展させた。これは、2014年から2017年の間にDFGによって資金提供され、ベネッセ教育研究開発研究所(BERD)と共同で実施された、2012年からの2000人の日本人の親の調査に基づいたものであり、ドイツのデータは2009年にラーヴェンスブルガー財団が行った調査に依る。
この研究プロジェクトのもう一つの重点は、生活条件の実質的な地域差の人々の幸福への影響、特に日本の都市部と農村部の生活の実質的な違いにある。この点において、本プロジェクトは、日本の地方自治体の将来をテーマとしたDIJの研究に関連付けられる。幸福への社会学的アプローチは、個人を社会的文脈で分析するのに役立つ。これまでのところ、農村地域の人々がより満足しているか、不満であるかについては、コンセンサスは出ていない。農村地域は深刻な人口流出を食い止めようと、様々な方策を採っている。このためには、人口のニーズを理解し、農村地域の若い親が何を幸福と捉えるかをよりよく研究することは非常に重要である。本プロジェクトのこの部分のデータは、インタビューとアンケート調査を通して構築された。そのために、2018年から九州の熊本県でインタビューを実施している。これらは、年齢、性別、コミュニティ内外の職業、およびコミュニティ内のネットワークの質の重要性を我々に知らしめた。自分たちのコミュニティについての意見は、非常に肯定的なものから非常に否定的なものまでさまざまであった。どこで子供を育てるかを決定しなければならない場合、より良い環境、よりきれいな空気、比較的安い住宅費、そして、より広い空間を求めることが、結局は田舎での生活を選択する動機になってしまうから、親の満足度に関してはあまり意味を成さなくなってしまうのである。何よりも、家族政策が日本国内のこれらのさまざまな生活の現実にどのように対応できるかが、地方自治体にとって継続的な課題ある。