成長企業における企業統治 -独日両国のバイオテクノロジー企業を比較する
1969年12月年 - 2005年10月
ドイツ・日本研究所 (DIJ) と明治大学大学院商学研究科の共同プロジェクト
成長企業は、その出発点において大企業とは大きな違いが認められる。一つには、若い企業がベンチャー資本の融資を受け、それによって資本市場とは異なったメカニズムに組み込まれることがあげられる。さらに人的な事情にも相違点が見られる。創設者達は (尚も) 企業内に留まり、一部にはかなりの割合の株式を保有している者もいる。その一方、役員が安定企業で得るであろう額の給料を支払うための資金が不足することもままある。従って、報酬を支払うための別の方法を見つけ出すことが必要となる。よく利用されるストック・オプションはこの報酬を支払うためであるとされている。
本プロジェクトは、「若い企業が純粋なベンチャー資金調達から資本市場での資金調達へと移行する時に、企業統治がどのように展開されるのか」という問題を中心的に扱っている。特に着目すべきは、モニタリングと管理機構の変化と株券オプションを利用することによるマネジメントの動機付けの問題である。よって、本考察はJ-IRIS と DIJ の共同プロジェクト「企業統治システムの比較」を補完するものとなる。本研究は、独日両国の最も将来性のある産業の一分野であるバイオテクノロジーに限定して行っており、プロジェクト「日本経済の将来性」へと繋がっていくことになる。
経験値収集の第一部はドイツでインタビュー形式で行い、2002年12月に終了した。インタビューには、QIAGEN他の企業、インフラ整備および支援機関 (BioM マルティンスリード、バイオパーク・レーゲンスブルク 他) および学術団体の高名な代表的人物 (ミュンヘン工科大学内「企業設立および企業財政」講座のアン-クリスティン・アハライター教授ならびにアレクサンダー・バッセン博士、さらに「経営者と起業」講座のペーター・ヴィット教授) にご協力いただいた。日本でデータを補完した後、2003年夏に第一回目の成果を公表する予定である。
共同研究協力者
修士 松田 健 (明治大学大学院商学研究科, take-m@pop21.odn.ne.jp)