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Deutsches Institut für Japanstudien

少子化問題と格差社会

 2007年12月年 - 2013年11月

本プロジェクトはホルトス(Barbara HOLTHUS) とクライン (Axel KLEIN) が主催するものである。もうひとつのプロジェクトである『日本における少子化問題進展の様相』に関連するものであるが、本件の焦点は出生率の低下における特定の様相、すなわち社会的格差が少子化に及ぼす影響にあてている。加えてこのテーマに関する日独両国の比較という見方からアプローチする。

日本およびドイツの出生率は同じくらい低いレベルにあり(日本1.32、ドイツ1.33)、高齢化が進む両国にとって問題視されている。出生率低下の要因については多くの研究および政策提言がなされており、スウェーデンやフランスの政治的・社会的諸条件が日独両国もめざすべき理想像であるとしばしば指摘されている。例えば子育て環境の改善、女性の就労支援やキャリア開発、よりよいワーク・ライフ・バランスの提案、あるいは若年世帯への財政支援の強化などが両国の少子化に歯止めをかける主要な解決案として挙げられる。

しかしながら、出生率を論議するにあたり、拡大しつつある社会的格差との関連はこれまでほとんど意識されずにきた。社会的格差/不平等という問題は、ドイツではかなり以前から学問や政治、公共の場でも議論されてきたが、日本でこの問題が社会に認知されるようになったのは、つい最近のことである。社会的階層は、日本語では「格差」という用語が用いられるが、まずそしてとりわけ経済的なコンテクストに現れ、日本社会の総中流意識を脅かすものとなっている。日本においても収入、雇用機会および労動や昇進機会の格差が増大し、貧困が拡大し社会的流動性がますます減少傾向にあると意識されるようになってきた。そのうちに「格差」言説は拡大して、現在の地域、都市部/地方格差、性別に基づく不平等、増大する教育機会格差、異なった規範と価値による差異、消費者行動だけでなく民族性にも基づく違いについても「格差」言説としたテーマに包括されるだろう。

本プロジェクトの一部として、2008年11月6日、7日に東京で国際シンポジウムを開催する。日本、ドイツおよび米国から、日本ならびにドイツ研究に携わる多様な研究分野(政治学、社会学、人口学、人類学など)の国際的な研究者が一堂に会するものである。

本プロジェクトの更なる課題は、日独両国における少子化と社会格差についての最新研究を英語の書物にまとめることである。書籍の発行は2009年末を予定している。


イベント

2008年11月6日 - 2008年11月7日
シンポジウム・会議
少子化問題と格差社会 - 日独比較

スタッフ

アクセル・クライン アクセル・クライン (until 2015年11月)
日本学、政治学