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Deutsches Institut für Japanstudien

高齢社会における生涯現役という働き方が持つ可能性とアントレプレナーシップ

 2013年4月年 - 2016年4月

日本は高齢化が急速に進行しており、世界で最先端を行く高齢社会の進展を見せている。高齢化がもたらした変化の一つとして、平均寿命の伸長とともに身体的能力、認知能力も向上していることが報告されている。また、継続的な社会的活動と、健康状態および生活の質(QOL)の間の正の相関関係も老年学の知見として示されている。 他方で経済学においては、経済成長、経済発展に関して高齢化は悲観的にとらえられる傾向がある。一例として、高齢化による労働人口の減少を理由に、今後21世紀半ばまでの日本の経済成長の大幅な低下が予測されている。 高齢社会における労働力および生産性の問題において、これまでより長い就業期間の効果を議論することは有意義である。本プロジェクトでは、定年退職後、高齢期の就労が経済効果をあげ、かつ、就業者自身にも効用をもたらしうるかという点を検討する。老年学の「アクティブ・エイジング」の知見を経済学における議論に取り入れ、新たな知見を得ることを目的とする。生涯現役で就労することと、健康と生活の質は、トレードオフの関係ではなく、両立するであろうか。生涯にわたる就労と健康および生活の質の両立に関して、日本はどのように評価できるであろうか。 老年学の「アクティブ・エイジング」においては、包括的な満足度、すなわち身体的、精神的、社会的等様々な尺度での満足度が重要である。また、幸福度、生活満足度を、従来の経済学的要素に加えて、社会的、心理的要素も含めて測定し、包括的にとらえる研究は、経済学においても見られるようになってきた。本プロジェクトでは、これらの要素が高齢期の就労というコンテクストでどのように作用するかを研究する。シュンペーターに始まるイノベーションの理論と進化経済学の理論に基づき、またステークホルダーの持つパーソナリティーの重要性を考慮しつつ、ケーススタディ、ヒアリング調査、統計資料の分析と評価を行う。

スタッフ

芳賀 和恵 芳賀 和恵 (until 2016年4月)
経営・経済学