東北におけるボランティア活動
2012年4月年 - 2013年8月
「3月11日の東日本大震災」に関するドイツ日本研究所の新しいプロジェクトの一環として、本研究ではボランティア活動に従事する人々の動機について考察する。震災後、被災地でのボランティア活動の参加者は記録的な数となり、とくに若者の参加者はこれまでにない数となった。この点を考察するために本研究では、20歳から40歳のボランティア参加者を対象に東北、ならびに東京にて聞き取り調査を行った。とりわけ対象としたのは学生、会社員、フリーター、ニートと呼ばれる人々である。研究の目的はボランティア活動に参加した動機を調査することで、その活動が参加者の価値観と生活の満足度にどのような影響を及ぼすのかを分析するためである。この点において本プロジェクトはドイツ日本研究所がこれまで進めてきた「幸福」をめぐる研究プロジェクトに関連している。また本研究はボランティア活動に志願した個々人が、その活動をどのように捉えているのかを考察することも対象としている。すなわち、参加者は当時を振り返り、その活動をどう評価しているのか、そしてそれぞれの個人にいかなる影響を及ぼしたのか、といった点にも焦点を当てる。加えて被災地の住民との交流はどのような経験となったのかというテーマについても現地調査の一つとして考察する。本研究を通じて得られたエスノグラフィー調査に基づくデータは、文化人類学の互酬性理論に照らして解釈される。
スタッフ
スザンネ・クリーン (until 2013年8月)
文化人類学