日本における教育改革の要求と現実
1999年10月25日
スザンヌ・クライツ-サンドベリ
日本の教育改革は、過去30 年間に何度も繰り返されてきた。現在、明治時代、第二次世界大戦後に続く、いわゆる3回目の改革が行われている。教育改革は通常文部省により執り行われてきたが、1984-87年の改革は、中曽根内閣により臨時教育審議会が設置された。目的設定はそれぞれ異なっているが、教科課程の多様化や教育制度の構造的な確定など、中心的内容は共通している。最も新しい教育改革は1997年に始まり、2002年までに終了の予定である。当研究所では1999年10月25日に、1980-90年代に履行された教育改革について、スザンヌ K. サンドベリとユリアン ディルケスの企画によるワークショップが開催された。
第一部のテーマには、中・高等教育の場での改革の根本的なもの、目指すところとその現実を取り上げた。まず、スザンヌ K.サンドベリ(ドイツ-日本研究所研究員)が、その位置価値を判断するために、近代日本で先に行われた改革と比較しながら、概略を説明した。特に青年期への影響を中心に発表した。 続いてクロード レヴィ=アルヴァレス(広島大学)が、中央で企画された改革の多くが、地域で部分的に実施されたにすぎない80年代に履行された改革について報告した。この発表は、彼自身が中学校で調査を行い、確認したものである。
第二部では、歴史授業の教科書と教科の内容についての発表を取り上げた。クリストファー・バナード(帝京大学)は、第二次世界大戦関連の南京事件や終戦問題が、どのように紹介されているかを言語的視点から調査をした。1995 年当時の教科書に言語の基準を置いて、表現における連続性に焦点を当てた。ユリアン・ディルケス(プリンストン大学、ドイツ-日本研究所研究生)は、歴史授業の中で、どのような国際的な発展があるのかを調査し、どうして日本の学校教科書と教科課程の内容が国際的傾向と相反するのか、さらにその制作視点との関係などについて発表した。
今回の発表及びその後に行われた討論において、バーナードとディルケスは、歴史授業の教科書の内容には、さほどの変化が見られないという結論に達した。一方、レヴィ=アルヴァレスとサンドベリからは、改革は同じ目的に向かって徐々に進み、変化はゆっくりであるが、長期的な目でみると成果があがっているのではないかという意見が出された。